根室市水産HACCP推進協議会について

根室市水産HACCP推進協議会

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根室市水産物品質及び衛生管理マニュアルの写真

根室市水産物品質及び衛生管理マニュアル(平成14年3月策定)

 根室市水産HACCP協議会は、根室市の基幹産業である漁業・水産加工業において、衛生管理のレベルアップとHACCP手法を取り入れた高度な衛生管理を推進し、生鮮水産物や水産加工食品の品質向上を図ることを目的に、平成12年7月に設立されました。
 当協議会は、根室水産協会、根室鮮魚小売商組合、根室ウニ加工協会、根室漁業協同組合、歯舞漁業協同組合、落石漁業協同組合、根室湾中部漁業協同組合、釧根トラック協会根室支部、根室商工会議所、根室市の10団体から構成される組織です。

 また、アドバイザー機関として釧路開発建設部根室港湾建設事業所、根室振興局、根室保健所、地方独立行政法人、北海道立総合研究機構、水産研究本部、釧路水産試験場、北海道漁業協同組合連合会根室支店、コーディネーター機関として社団法人 北海道食品産業協議会に依頼し、専門的な立場からの指導・助言を適宜得ながら事業に取り組んでいます。
 これまでの主な取り組みとして、平成14年3月に「根室市水産物品質及び衛生管理マニュアル」を策定すると共に、関係団体へ周知を図るためのマニュアル説明会の開催や、衛生管理に関する講演会や展示会、衛生管理・細菌検査手法に関する実技講習会の開催、ポスターやCD-ROM作成によるPR活動などを実施しております。
 この他にも、卸売市場に水揚げされた漁獲物の温度測定や鮮度に関する調査事業を通じた鮮度管理の実践状況や、衛生管理に関するチェックリストの記入促進活動など、マニュアルの検証活動にも取り組んでいます。
 今後も、地域が一体となってHACCP手法を取り入れた衛生管理の充実を図ると共に、認証制度の活用なども視野に入れた高度な衛生管理システムを確立しながら、安全安心な水産物を提供することによって根室ブランドの確立に向けて取り組んでいきます。

協議会の構成団体及び組織図

根室市水産物品質及び衛生管理マニュアルについて  

1.策定までの経緯

根室市水産HACCP推進協議会 定期総会の様子

根室市水産HACCP推進協議会 定期総会

 近年の大規模な食中毒事件の発生などを契機として、生鮮魚介類や水産加工食品についても「より安全で安心な食品」が従来にも増して消費者サイドから強く求められるようになりました。また、食品製造を取り巻く世界的な潮流として、消費者保護の立場が一層強まり、国内でもHACCPシステムやISO9000シリーズやISO22000シリーズ導入への取り組みが進んできました。
 根室市は道内でも有数の水産物を供給する産地ですが、より一層の安全性の確保、品質及び衛生管理の高度化、消費者への適切な情報提供など、消費者ニーズや社会的責任に応えていくためには、地域を上げた取り組みが不可欠であると考え、根室市水産HACCP協議会を設立し、水産物の漁獲から市場・加工・輸送(流通)に至る各行程に「HACCP的概念」を取り入れた「根室市水産物品質及び衛生管理マニュアル」を平成14年3月に策定しました。

2.管理の範囲と対象魚種

「根室市水産物の品質及び衛生管理マニュアル」の対象範囲は、次のとおりです。

管理の範囲

  • 漁業者−出港前〜出港〜漁獲〜帰港〜荷揚〜選別〜陳列
  • 市場−計量・セリ〜搬出
  • 輸送−市場搬出〜加工場搬入
  • 加工場−原料受入れ〜加工製造〜保管〜製品搬出
    [鮮魚店−市場搬出〜鮮魚受入れ〜処理(包装・裁割)〜販売]
  • 輸送−製品搬出・輸送

管理の対象者

利用者全般を考慮すると市民全部が対象者となりますが、ここでは生鮮魚介類に直接的及び間接的に携わる関係者として、漁業者・市場関係者・加工場関係者・買受人・販売人・流通業者のほか、市場を利用する機会のある人の全てを対象とします。

管理する対象魚種

  1. サケ・マス(春鮭鱒)
  2. サンマ
  3. 秋サケ
  4. タラ
  5. カレイ
  6. カニ
  7. ウニ
  8. 貝類

3.衛生管理推進体制の一本化

 水産物の取り扱いについて、高度な衛生管理的手法を取り入れることから、漁獲から市場・加工・輸送(流通)に至る各行程における一貫した品質及び衛生管理を実現するため、その推進母体として市内の11の関係団体からなる「根室市水産HACCP推進協議会」が中心となって、水産物の品質及び衛生管理について、本マニュアルをもとにした実践と取り組みの検証を行い、水産食品の衛生管理を推進します。

4.ステップ方式による取り組みの目標年次

 本マニュアルでは、地域として高度な衛生管理を着実に推進していくため、ステップを踏んで取り組んでいます。
 このため、生産・市場・加工・流通の各分野で管理項目について、各々の目標年次を設定しており、平成14年度を初年度とし設定された年次で管理事項の水準に到達することを目指しています。

[ステップ1](1年〜2年間で完結を目指します)/平成14年〜平成15年 
[ステップ2](3年〜6年間で完結を目指します)/平成16年〜平成19年
[ステップ3](7年〜10年間で完結を目指します)/平成20年〜平成23年

5.根室ブランドの創出

 地域HACCP化への取組みの最終目的は、「根室ブランドの確立」でます。そのためには、根室で生産・加工される水産加工品が高い品質と高い安全性が保持されていることを証明し、積極的に情報提供することが根室ブランドを創出する前提条件と考えます。
 このための地域の取り組みとして、まずは本書の「品質及び衛生管理マニュアル」の着実な実践が、不可欠であると考えており、毎年その進捗状況を本協議会が検証し、常に地域に相応しいマニュアル(ソフト)の修正及び充実を図ります。
 今後、本協議会では衛生管理推進員を設置し、自主的な検証と併せて第三者機関(専門家、消費者を含む)による客観的な検証を行っていくと共に、両者による検証と評価をもとに、「根室ブランド認証」のあり方やその条件の検討を進め、根室ブランド認証制度について、検討を進めていきます。

6.根室市水産HACCP推進協議会の対応指針

 この指針は、根室市水産HACCP推進協議会が推進母体となる品質及び衛生管理の高度化についての全体的な指針であり、4段階に区分しています。
 なお、これまでの取り組みを踏まえて、今後の取り組みを推進していくための項目を、段階別な対応指針として示したものが以下のとおりです。  

[第1段階]基本的な自主衛生管理活動の推進(平成23年度〜25年度)

  1. 自主衛生管理の推進を担うリーダーの育成
  2. 生産者、市場施設、加工業者、鮮魚店、運輸業者における基本的な自主衛生管理項目の実践

[第2段階]衛生品質管理レベルの高度化(平成26年度〜27年度)

  1. 優良衛生品質管理市場・漁港認定の取得検討
  2. HACCP認証取得商品と北海道による段階評価4以上の評価事業者拡大の推進

[第3段階]地域HACCP化の推進(平成26年度〜27年度)

  1. 根室市独自の衛生品質管理ガイドラインの策定

[第4段階]根室ブランドの育成・管理(平成28年度〜)

  1. 根室市安全・安心水産物推奨制度の整備 
  2. HACCP認証商品(加工品)、衛生品質面で優れる根室産水産物(鮮魚)のPR強化

参考資料(平成12〜22年度までの対応指針)

[第1段階]水産物品質及び衛生管理マニュアル策定(平成12年度〜13年度)

  1. 協議会の設置
  2. 衛生管理の現状調査と分析 
  3. マニュアルの作成

[第2段階]マニュアルの実践と検証並びに修正(平成14年度〜16年度)

  1. マニュアルの普及・啓発及び実践に向けた取り組み
  2. マニュアルの検証及び修正に関する取り組み
  3. 根室市水産HACCP推進協議会の衛生指導員の育成
  4. 軽度な施設設備の整備

[第3段階]根室ブランド確立に向けた取り組み(平成17年度〜19年度)

  1. 根室市水産HACCP推進協議会の品質及び衛生監視員の養成
  2. 根室ブランド構築のための検討
  3. マニュアルの再検討と改訂

[第4段階]地域HACCP化への取組み(平成20年度〜22年度)

  1. HACCPに準じた新しい品質及び衛生管理マニュアルの再策定 
  2. 認証制度の検討
  3. 高度な施設設備の整備

参考:地域HACCPとは

 HACCPシステムとは1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式で、国連食糧農業機関・FAOと世界保健機構・WHOの合同機関である食品規格・Codex委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
 従来、食品の安全性を確保するためには、食品を製造する環境の整備や衛生確保に重点が置かれ、主に最終製品の抜き取り検査によってその食品の安全性を確認してきました。しかし、抜き取り検査だけの場合、危険な食品が市場に出て食中毒を引き起こす可能性を排除することができませんでした。
 これに対してHACCP方式による食品の衛生管理は、従来から行ってきた衛生管理に加え、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、あらかじめ危害を予測し、その危害を防止するための重要管理点(CCP)を特定して、そのポイントを継続的に監視・記録し、異常が認められたらすぐに対策を取り解決することで、不良製品の出荷を未然に防ぐシステムとなっています。

 より安全で精度の高い食品衛生管理システムが普及し、食品の安全性に対する消費者の関心も高まる中で、北海道標津町では、北海道と連携を取りながら、秋鮭・ホタテをモデル魚種とした品質管理高度化モデル計画を策定し、「地域HACCPマニュアル」を作成しました。HACCP手法を取り入れた原魚の鮮度保持対策や加工業者による積極的な衛生対策に取り組むなどして、漁獲から市場、加工、流通の各段階において、地域の業界が一体となって衛生管理に取り組む先進的な事例として高く評価されています。
 このような動きの中で、根室市においても「安全・安心」な水産物を供給していくために、市内の漁業生産者、卸売市場、水産加工場、水産物流通業者が連携を取り、地域が一体となってHACCP手法を取り入れた衛生管理に取り組んでいるのです。

この記事に関するお問い合わせ先

根室市水産加工振興センター

〒087-0032
北海道根室市花咲港374番地

電話番号:0153-25-3313 ファックス:0153-25-3313

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更新日:2018年03月01日