豊かな海に集まる動物たち

海の生物と流氷の関係とは?

根室をはじめ、北海道オホーツク海側の海には流氷がやってきます。実はこの流氷と道東の知床や北方四島そして根室の海に多くの生物たちが集まってくることと深いかかわりがあります。このページでは流氷と海の生き物たちとのかかわりを紹介します。

根室海峡を埋める流氷

根室海峡に押し寄せた流氷

流氷を眺める少年

流氷を眺める少年

流氷はどこででき、何を運ぶのか?

流氷の形成される海域と流れ着く海域を示した図

みなさん流氷がどこでできるか知っていますか?実は流氷はオホーツク海北部沿岸の表層の海氷がシベリアからの冷たい季節風によって凍ってできたものです。流氷のできる海域にはロシアや中国を通る大河、アムール川の水が大量に流れ込みます。アムール川の水には窒素をはじめとした栄養塩や鉄が多く含まれていて、この海域の海の水にはこれらが溶け込んでいます。海の水は凍るときに塩分、窒素などの栄養塩を吐き出しながら凍ります。なので流氷自体には栄養塩はあまり含まれていません。吐き出された栄養塩は比重の重くなった表層の海水とともに推進200-800メートルの海の中層まで沈み込み、東カラフト海流にのって南下します。南下した栄養分をたくさん含んだ海水は千島列島付近の激しい海流に攪拌され海の表層に現れます。

では流氷にはなにも含まれていないのでしょうか?そんなことはないようです。近年の研究によって流氷には多量の鉄が含まれていることがわかりました。

流氷の恩恵を受け長い期間発生するプランクトン

岩場で休むラッコ

岩場で休憩するラッコ

ちょっと小難しいのですが、実はこの鉄、植物プランクトンが光合成をおこなう際の電子伝達系や光合成色素の合成などに重要な役割を果たしています。鉄は植物プランクトンが生きて聞くのに必須な元素なのです。流氷によって運ばれた鉄と海流によって運ばれた栄養塩をもとに、知床、根室、四島周辺の海では春になると植物プランクトンが大量にはっせいします。普通の海域ではプランクトンの発生は春から初夏にかけてのみなのですが、この海域では秋までそれが続きます。また、道東や北方四島周辺の海域は北からくる海流と南からくる海流が交わる場所でもあります。そのため、多くの魚たちがプランクトンを求め集まり、さらに海鳥や海獣も集まってきます。知床、根室、四島の海は遠く離れた北の海とアムール川とのつながりの中で豊かな生態系を形作っているのです。

氷上で休むゴマフアザラシ

氷の上でくつろぐゴマフアザラシ

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更新日:2018年03月08日