2022(令和4)年7月23日 洋上慰霊
【島に眠る先祖へ洋上から祈りを】
新型コロナウイルス感染症の影響により、2年連続で北方領土への北方墓参をはじめとするビザなし渡航が中止となり、今年度も実施の見通しが立たない中、「上陸できずとも少しでも島に近づいて祈りを捧げたい」という元島民や関係者の応える『洋上慰霊』が始まり、鈴木直道北海道知事や元島民ら42人を乗せた四島交流船「えとぴりか」が根室港を出発しました。この日は荒天のため、予定していた歯舞群島水晶島沖の中間ライン近くまでは行かず、参加者たちは根室半島沖で船内に設置された祭壇に献花し、島へ手を合わせました。
洋上慰霊の実施に向けては、鈴木知事のほか、千島連盟の脇紀美夫理事長、石垣市長と四町の代表者が今年6月に岸田首相のもとを訪ね、事業の実施・支援について要望していました。
出発式では、主催者として鈴木知事が「ビザなし渡航が行われていない状況は関係者の気持ちを考えると断腸の思いである。洋上慰霊により皆さんの思いが先人の眠る島に届くことを心から念願する。」と話し、脇理事長は「領土交渉の早期再開、墓参と自由訪問の実施再開に向けて、強い意思を持って交渉することを国に対して求めていきたい。」と挨拶。船が港を離れ、汽笛が鳴ると、3年ぶりに根室港に「えとぴりか」を見送る声が響きました。
慰霊を終えた色丹島元島民の得能宏さんは、「乗り慣れた船で海路を使って先祖に近づけたことは嬉しかった。命を大事にし、杖をつきながらでも何とかしてまた島に辿り着きたい。」と噛み締めていました。
洋上慰霊は8月10日までの間、全10回の行程を予定しています。

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更新日:2022年10月11日