根室半島チャシ跡群

ヲンネモトチャシ跡
「チャシ」はアイヌ語で「柵囲い」を意味し、砦、祭祀の場、見張り場など多目的な用途で使われていたとされます。北海道内でチャシ跡は500ヶ所ほど確認されており、根室市内には32ヶ所のチャシ跡が残り、うち24ヶ所は「根室半島チャシ跡群」として国指定史跡に指定されています。根室市内のチャシ跡が築かれた正確な年代は不明ですが、16~18世紀頃とされています。
根室市内のチャシ跡は、海を臨む崖上に、半円形や方形の壕を巡らした「面崖式」のチャシ跡が多く、壕を組み合わせた大規模なものが多いことで知られます。
※冬期間はチャシ跡群の除雪は行っておりません。
根室市観光協会公式ホームページにもチャシ跡の情報があります。
ノツカマフ1・2号チャシ跡

ノツカマフ1号・2号チャシ跡
ノツカマフ1・2号チャシ跡はノツカマップ湾に突き出した岬の上にあります。オホーツク海を一望できる崖上に、半円形の壕が巡ります。
1号チャシ跡は幅5メートル深さ約3メートルの半円形の壕が70メートル×25メートルの範囲で2つ連結しており、壕の内側に盛土が観察できます。2号チャシ跡は幅約3メートル、深さ約0.5メートルで半円形の浅い壕が巡っています。
ノツカマップは、1778年にロシアの商人シャバーリンが来航し交易を申し出るなど日露外交交渉発祥の地としても知られています。
ヲンネモトチャシ跡

ヲンネモトチャシ跡
ヲンネモトチャシ跡は、温根元湾の西岸に突出した岬の上に盛土をして、壕で区画し、盛土頂上に平坦面を2ヶ所作り出しています。温根元漁港から見ると「お供え餅」のようにみえ、形の良好なチャシ跡として知られています。
近くには、約1,300年前のオホーツク文化期の竪穴住居もあり、この湾が古くから人々に利用されてきたことがわかります。
根室市内のチャシ跡の立体地形図
根室地方ではチャシ跡や竪穴住居跡が、長い年月を経ても埋まりきらずに地表から観察できるため、ドローンによるレーザー測量を実施し地形測量を行い、CS立体図にしました。
「CS立体図」は、長野県林業総合センターが考案した地形表現図です。曲率(Curvature)と傾斜(Slope)との組み合わせにより、緩傾斜地は淡く急傾斜地は濃く、凸地は赤く、凹地は青く表現され、地形判読が視覚的・直感的にしやすくなります。
チャルコロフイナ1,2号チャシ跡(PDFファイル:2.7MB)
クナシリ・メナシの戦いとチャシ跡
寛政の蜂起和人殉難墓碑
この地域を支配していた和人が、暴力や脅迫をしてアイヌ民族を漁場で働かせたことがもととなり、1789年に国後島や羅臼、標津地方のアイヌ民族が和人71人を殺害するという「クナシリ・メナシの戦い」が起きます。
「夷酋列像附録(いしゅうれつぞうふろく)」(1798年成立)には、クナシリの総首長ツキノエが「クナシリ・メナシの戦い」の際に、国後島でチャシを築き、毒矢や槍の準備をしたとあります。また、シャモコタン(根室市豊里サンコタン)の首長ノチクサも、5ヶ所のチャシを築き和人との戦いに備えたとあります。
しかし、アイヌ民族と和人は直接的な衝突に至らず、和人を殺害したアイヌ民族37人はノツカマップ(根室市牧の内)に連れてこられ処刑されました。
この戦いで亡くなった和人71人の墓碑が納沙布岬北方館前に置かれています。
日本100名城スタンプ設置施設のご案内
根室市歴史と自然の資料館
住所 根室市花咲港209番地(根室駅から車で約15分)
電話 0153-25-3661
開館時間 9時30分~16時30分
※月曜日、祝祭日休館(月曜が祝祭日の場合火曜日休館)、年末年始休館
観光インフォメーションセンター
住所 北海道根室市光和町2丁目10番地(根室駅から徒歩1分)
電話 0153-24-3104
開館時間 6月~10月は8時~18時、11月~5月は9時~17時
※年末年始休業
北方領土資料館
住所 根室市納沙布33番地
電話 0153-28-2445
開館時間 9時~17時
※11月~4月は水曜日休館。年末年始休館
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更新日:2023年04月12日