希少鳥類に関する資料

シマフクロウ Bubo blakistoni

体長70センチメートル、翼を広げると180センチメートルもある世界最大級のフクロウです。北海道、北方四島国後島、極東ロシアなどに分布し、主食は魚で、大きな木にできた樹洞に卵を産んで雛を育てます。アイヌの人たちからは村の守り神”コタンクルカムイ”として崇められています。

河川改修などの影響により餌となる魚が減少したこと、森林が伐採され樹洞のできる大木がなくなってしまったことなどにより、その数を減らしてしまいました。現在、北海道では140羽ほどしか生息していない絶滅の心配されるフクロウで、環境省のレッドリストでは絶滅の恐れの最も高い絶滅危惧IA類に指定されています。シマフクロウを守るため、河川の環境を改善したり、樹洞の代わりとなる巣箱を架ける活動が続けられています。当館にはシマフクロウの成鳥、亜成鳥の剥製の他、全身骨格標本、生後4日後の雛の剥製など豊富な資料が揃っています。

シマフクロウの剥製と骨格標本

タンチョウ Grus japonensis

体長約130センチメートル、翼を広げると240センチメートルもあります。江戸時代以前は、石狩平野でも繁殖して、関東平野でも越冬する個体群が見られました。しかし、明治期の乱獲と開拓による湿原の減少により、一時は絶滅したと考えられていましたが、大正13年に釧路湿原で10数羽が発見されました。その後、手厚い保護により、現在約1500羽まで個体数が回復しています。夏季には北海道東部を中心とした地域の湿原などに分散して繁殖し、冬期には北海道に生息する約9割の個体が鶴居、阿寒などの給餌場に集まって越冬します。近年、鳥インフルエンザなどの感染症への集団感染などの危険性が懸念され、越冬地を分散する試みが行われています。アイヌ語ではサルルンカムイ(湿原の神様)と呼ばれています。当館では剥製と全身骨格標本を展示しています。

タンチョウの剥製と骨格標本

 

エトピリカ Fratercula cirrhata

体長30-40センチメートル、翼を広げると65センチメートル。赤いクチバシとコミカルな顔がおしゃれな鳥です。現在、国内では北方四島を除くと、根室のユルリ島、モユルリ島でしか繁殖していません。海に面した断崖に穴を掘って巣を作り、集団で繁殖します。ペンギンのように海の中を飛ぶように泳ぎ、イカナゴやニシンなどの魚を捕まえて食べます。かつて、ユルリ島、モユルリ島には250羽ほどが繁殖していたという記録が残っていますが、現在は15羽ほどしか見られなくなってしまいました。北方四島の色丹島や択捉島には、今も多くのエトピリカが生息し、数百羽が集まるコロニー(集団繁殖地)があるようです。ちなみにエトピリカはアイヌ語で名前がついた鳥で”エト” がクチバシ、”ピリカ” が美しいという意味になります。当館ではエトピリカの剥製と頭骨、エトピリカの仲間であるウミスズメ科の鳥たちの剥製を展示しています。

エトピリカの剥製

 

オオワシ Haliaeetus pelagicus

体長90センチメートル、翼を広げると約230センチメートルもあるオオワシ。現在、その個体数は5000羽前後と推定されています。極東ロシアのオホーツク海沿岸、カムチャツカ半島などで繁殖し、北海道には約1500羽が越冬のために渡ってきます。主食は魚ですが、海鳥を捕まえたり海獣類やエゾシカの死体なども食べます。かつてはスケトウダラ漁のおこぼれを狙って知床半島に多く集まっていましたが、スケトウダラが不漁になった現在は、風蓮湖などで行われている氷下待網漁のおこぼれにオジロワシとともに多くのオオワシが集まっています。また、近年は交通事故や狩猟によって死んだエゾシカも餌として多く利用しており、シカの体内に残された鉛弾を食べてしまうことによる鉛中毒や道路際、線路際のシカの死体に集まることによる交通事故で多くのワシ達が命を起こしています。鉛中毒に関しては現在北海道内での狩猟に用いる鉛弾の使用が禁止されているのですが、それでも鉛中毒死するワシ達が後を絶たず問題になっています。当館ではオオワシの成鳥、幼鳥の剥製展示しています。

オオワシの剥製

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更新日:2018年03月01日