「安全な海に」 歯舞学園 9年 清水 拓 さん
安全な海に
歯舞学園 9年 清水 拓
明日殺される。皆さんはそんなことを考えながら生活をしたことがありますか。大切な家族の命の危機を感じながら見送ったことはありますか。今北方領土周辺で漁をしている漁師たちは、北方領土の問題に直面しながら仕事をしています。
北方領土周辺の海域は暖流と寒流が交差する豊かな漁場です。春には早く火が通り味も染みやすい棹前昆布、夏にはよく出汁が出る猫足昆布。小さい頃から手伝ってきたので今では昆布の種類や品質の良し悪しまでわかるようになりました。大漁の日は、地域全体が活気で溢れます。船から上がった昆布が太陽に照らされ、キラキラ輝く景色はとても美しいものです。最盛期になると、朝早くから夜遅くまで家族総出で仕事をする日が、何日も続きます。私は小さいころから父や友達と一緒に釣りを楽しんできました。父が船を持っており、昆布漁がない日は沖へ連れて行ってくれます。初めて連れて行ってくれたのは7歳くらいで、ほとんど覚えていません。ただ、今では修学旅行で友人と釣具店に行くほど、釣りはなくてはならないものです。私は、海に育てられ、ともに暮らしてきたのです。うちの船「清開丸」は父の名前から名付けています。船は父の思いであり、なにより私たち家族を支える商売道具なのです。そして父との船釣りの道具や、今までの僕を作り上げた、たくさんの思い出が詰まっています。もし船が沈められれば自分の思い出や昆布をとる棹なども海に沈んでしまいます。家族の生活の支えがなくなります。
しかし現在、北方領土周辺で漁業をすることがより難しくなっています。ロシアがウクライナへ軍事侵攻を初めて以来、日ロ関係が悪化し北方領土周辺で漁業をすることが難しい状態です。もし納沙布岬の方の海域での操業中、ほんの少しでもラインを超えてしまえば、銃撃されたり、拿捕される危険があるのです。銃撃されると商売道具である船を沈められたり最悪の場合銃弾が人に当たり死ぬかもしれません。父から過去には、実際にそのようなことが起きていると聞いたことがあります。父は当たり前かのようにさらっと言っていました。そんなことが当たり前であってはいけない!
正直、自分は政治や外交はよくわからないことばかりです。ただ一つ、将来昆布を取る時に安全に操業できて、家族も安心できるような海がいい、これは確かです。安全に漁ができる北方領土の海が帰ってきてほしい。そのために自分自身、北方領土問題について学び、理解を深め、海で働く人たちの声を聞いていきたい、たくさんの人に広めたいと思っています。
同世代の皆さんにもこの問題を身近な問題だと思ってほしい!遠い国際問題ではないのです。教科書の社会の問いではないのです。そして、北方領土に関わる大人の皆さんには、安心して働ける海を諦めないでほしいと思います。
私は将来、漁師になりたいと思っています。安全に漁ができる北方領土の海が帰ってきていてほしい。命の危機を感じながら、漁をすることが当たり前であってはいけない。それが私たちの海の未来だと信じています。
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更新日:2026年09月03日
















