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根室市郷土資料保存センター
かけがえのない宝


 古い歴史と文化財、そして豊かな自然環境に恵まれている根室。
 郷土のかけがえのない宝を守っている建物とそれに携わる人たちがいる。
 今月は建物自体が”町の文化遺産”といわれている郷土資料保存センターの歴史とその活動を探る。















第一級品の資料
 赤レンガは『街の文化遺産』
 第2次世界対戦終結の年(昭和20)根室市は米軍機の爆撃を受け、市街中心部約80%が焼け野原となった。
 このため市内には戦前から残る建造物は少なく、戦火をまぬがれた建物は”ねむろ”の郷土資料として貴重な存在といえる。
 毎年、多くのロシア貿易船が入港し、貿易港の拠点となっている花咲港−この港の小高い丘の上に重厚な赤レンガ造りの古い建物がある。
 この建物は1942年(昭和17)大湊海軍通信隊根室分遣所として建設されたもので、終戦後、昭和23年に内部改装し平成元年1月まで花咲港小学校校舎として使用されていた。
 根室市内学校唯一の赤レンガ造りの校舎であった。
 校舎として活躍した赤レンガも老朽化が目立ち、新校舎(花咲港小学校)建設へと進む。その際、市民から建物の保存を望む声が強く、昭和63年12月、同小の新校舎が落成したのを受けて『根室市郷土資料保存センター』として再利用することになった。
 建物自体が歴史的資料価値を持ち”街の文化遺産”といわれている旧赤レンガ校舎を収納、保存、研究する機能を持たせるように整備し、いままで分散保管してきた各種郷土資料を一括集約した。
 永い歴史を経て、軍施設から校舎そして保存センターと使われてきた赤レンガは、人間でいうと今年で59歳になる。
 これからも街の文化遺産として後世に残していかなければならない。


資料集約・研究の拠点
 貴重な郷土資料を永く保存し研究する拠点として、また、郷土学習の場として更に多くの資料の収集を進めるために同保存センターが開設された。
 内部は904平方メートル。部屋は大小3つの資料室のほか、一般公開用の展示室、作業室、小動物の解剖なども出来る生物研究室などが設けられている。
 現在収蔵している資料は、動物のはく製や骨格標本、植物の標本、土器、石器などの考古学資料、文書・写真等の歴史資料、生活用具等の民俗資料、農具・漁具などの産業資料、約2万点以上にものぼる資料数だ。
 主な展示物を紹介すると全国的にも珍しい『マンモスの歯』、『エゾシマフクロウ』や『ラッコのはく製』また、1905年(明治38)ポーツマス条約に基づき樺太(現サハリン)の北緯50度を境に南が日本領、北がロシア領と決められた際に国境線として設置された『樺太国境標石』が展示されている。
 この国境標石は日本国内に一つだけしかない貴重なものだ。
 また、昨年カレイの刺し網にヒグマが絡まり水死したと、全国ニュースに取り上げられた『根室産ヒグマ』のはく製も展示されている。
 保存センターが開館し、13年が経過した。この間、市民や市外から多くの来館者がこの施設を訪れている。
 整然と展示されている貴重な資料に触れ、一人でも多くの人に根室の歴史と自然の素晴らしさを感じてもらいたい。


年々増え続ける資料
 保存センターには多くの市民から貴重な資料の寄贈をいただいている。そのため、年々資料点数が増え続け収蔵スペースも限界に近い状態だ。
 同資料の整理を行っている学芸員は「大きいものは別として、小さいものであれば、まだ収蔵できます。毎年大変貴重なものを含め幅広くいろんな資料が寄せられているので、郷土資料の充実に役立っています。これからも引き続き市民の皆さんのご協力をいただきたいです」と話す。
 学芸員が独自に収集した資料と市民から提供された資料は、展示スペースを設け一般公開している。
 もともと保存センターは郷土資料の保存、収蔵をおもな目的として開設された施設であり展示が主目的ではない。
 しかし、提供された資料を一般公開することは、市民の郷土学習普及に大きな力になることは、言うまでもないだろう。


再利用の成功例
 当時、教室として使われてた部屋は事務室や研究室、資料室などに生まれ変わった。職員室は事務室、校長室が作業室に使われている。間取りは当時と同じだ。
 この改装の試みは各方面から高い評価を受けており、広さや構造が再利用に適していたことによる成功例ではないだろうか。
 この施設(校舎)から巣立った卒業生は「各部屋をのぞくと当時の面影が残っているので、タイムスリップしたような感じになります。他の地域では児童の減少で学校の統廃合問題など出ていますが、我々の母校がいつまでも取り壊されることなく残っているのは嬉しいことですね」と目を細める。
 現在の花咲港小学校校舎は資料保存センター横に建てられている。外観は旧校舎との景観を考え赤レンガのデザインを用いている。
 北洋漁業が栄えていたころには、児童数が295人、学級数も11と市内大規模校に次ぐ大きさを誇っていた。昭和46年には学級増で校舎前にモルタル塗りの校舎が増設されたほどである。
 しかし、国際的な漁業規制の影響により人口の減少と少子化などで現在の児童数は6分の1まで減少している。
 このような時代の流れと数々の思い出を残し郷土資料保存センターとして再生した赤レンガは、これからも歴史を刻み根室の宝を守り続けるであろう。
 


専門の学芸員が配置
 郷土資料保存センターには自然分野専門の近藤主任学芸員と歴史分野専門の川上主任学芸員が配置されている。
 お2人には毎月、広報ねむろの『学芸員日誌』の原稿執筆をお願いしており、今月で253回の連載になる。
 『学芸員日誌』のファンも多く、当係に「毎回、楽しみにしています」との声がたくさん届いている。
 いつも思うのだが、これだけ連載するとネタがつきないものか?
 「ネタはつきないですよ。北海道でも有数の古い歴史を持った街であり、数多くの遺跡や豊富な自然が残されている」と同学芸員。
 優れた創造力と情熱を持っているお二人に、今後も根室の大きな財産である豊かな自然と歴史を紹介してもらいたい。
 学芸員は各種郷土資料の調査研究、収集保存のほか自然・歴史教育の普及活動も行っている。
 大口径の望遠鏡を使った「星座観察会」や根室半島の史跡と自然を巡る「史跡自然観察会」、さらに遺跡の数が北海道でも3番目の多さを誇る根室ならではの「土器づくり体験」、そして今年初めて開催する「コウモリ観察会」、また、各種講演会の開催など魅力的な事業を展開中だ。 


博物館建設は
郷土資料保存センターの中に博物館開設準備室が設置されている。
 この準備室は博物館の設計計画づくりや資料の収集、保管、調査研究、教育普及など博物館が建設されるまでの事前準備をしており、事務職と学芸員がそれぞれ活動を行っている。
 博物館構想の歴史をさかのぼると、根室市に博物館をつくりたいという声は昭和50年頃から起きてきた。
 年々その気運が高まり、昭和54年には根室市博物館建設審議会条例、根室市博物館建設基金条例が設置された。
 その後、学芸員の配置や博物館開設準備室の設置、さらに審議会を開催するなど着実に建設に向けての条件整備が整えられてきた。
 しかし、根室市を取り巻く財政事情は依然として厳しく、市単独で博物館を建設することは難しいとの考えから道立施設としての建設を要望しているが、いまだに建設の目処は立っていない。
 根室市に道立施設を−という長年の夢を実現するには、行政と民間が一体となった活動を今後も展開していかなければならない…
川上 淳 主任学芸員
十勝管内音更町生れ
立正大学大学院(日本中世宗教史専攻)修了後、1979年に学芸員として根室へ。
歴史を追い続ける
 「日本文化の歴史に興味があった」と大学院時代は日本中世宗教史を専攻。
 根室市が博物館の準備に着手した1979年に学芸員として着任する。
 根室市史にも載っているのに、それほど市民の間には浸透していなかったアダム・ラクスマンの来航。
 この研究を本格的に始めたのが1987年。以来研究会のシンポジウムなどで、ラクスマン来航の日露交渉史を報告するなど、この道の第一人者。
 根室の歴史を伺うと「北海道でも松前、函館と古い歴史を持つ街がありますが、ロシアとの関係が深い根室は世界史の歴史の中で国際的に位置付けられるのでは」と語る。
 これからの研究は千島の歴史とロシアの関係を含めたもの「これまでの多くの研究者の成果をもう一度調べなおし、千島史をまとめてみたい」と歴史を追い続ける。
近藤 憲久 主任学芸員
紋別郡興部町生れ
北海道大学大学院(応用動物専攻)修了後、1982年に学芸員として根室市へ
研究素材としては最高
 大学院時代にヤチネズミを研究している森林総合研究所と親交があり、それが縁で赤ネズミを研究テーマに取り組む。
 学生時代から北方四島の自然と動物に興味があり、当時は米ソ冷戦時代のときで北方領土の渡航など考えられなかったが、いつか行けると思い根室へ来ることを決断。
 10年前、ビザなし交流に参加し、北方四島の自然と動物の豊さに感動した。
根室の自然を伺うと「根室は自然環境が素晴らしく、平地でありながら42%の森林があるのは貴重なこと。また、野生生物が豊富で研究素材として恵まれ
ている」と語る。
現在、取り組んでいる研究はコウモリの調査。昨年、北海道で2例目というノレンコウモリを含め全部で9種類の確認に成功。休日は「自宅庭の花を手入れするのが楽しみ」と自然を愛して止まない。


博物館開設準備室年間予定事業



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