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猫と山芋

 厚床(あっとこ)の駅も町もなかったむかしむかしのことです。今の厚床からずっと西の山おくにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
そこで一月に二度くらい、生活の品々を持って馬車で来る親方をたよりに、ほそぼそと炭を焼いていました。

 おじいさんは今日も一本、明日も一本と木をきって、アリンコがものを運ぶように働いていました。そこの炭窯(すみがま)は一回に八俵(ひょう)、月に二回しか焼けない小さなものでした。

 おばあさんは木炭をかまに立てることや、炭出しのときしか手伝いはなかったので、暇な日はヤマベをつったり、コゴミやワラビをとったり、シイタケやフキをとって生活していました。たまった山菜は親方のみやげにして、よろこばれるのをうれしく思っていました。

 ある年の春のこと、長いあいだかわいがっていたねこの「お玉」が年をとってぽっくり死んでしまいました。そこでおばあさんは昼マンマを食べに来たおじいさんに「お玉が死んだから川のむかいの福寿草(ふくじゅそう)がいっぱい咲いている沢の暖かいところへうめてけろ」とたのみました。おじいさんは、言われたように福寿草がビッシリ咲いている日のあたりの良い所をほりました。福寿草は元気の良い花で、シバレた土を押しやぶって咲いているので、ガツンガツンとこおった土が鍬(くわ)をはね返すのにはこたえました。

 やっとポッカリ穴があいたあとは、お玉がはいる深さまでほろうとがんばっていると、何やら変なものがコロリと出てきました。シバレた土でもないようなのでひなたにおいて、たばこを一服(いっぷく)つけていると、変な土のかたまりがノソッと動きました。

 はて?とおじいさんは、キセルでコツンとたたきました。土のかたまりは、パラリと二つになりなした。

 そうしたら大きいほうの土にかたまりが「おじいさんどうもありがとう」とお礼を言いました。おじいさんはマサカ・・・?と自分の耳がおかしくなったと思いました。おもいきって「おまえはなに者だ」と言うと、土のかたまりは「オラは小川のヤチに住んでいたカエルだ」と答えました。そこでおじいさんは「何でここにいるのか、何でお礼を言ったのか」と聞きました。

 するとカエルは、「昨年の秋、寒くなったときに、日あたりの良さそうなここへ穴をほって、もぐりこんだのだが、後から長虫(ヘビ)がむりやり入ってきて、どけろ、どけないでけんかをしてたんだ。そのうち長虫はおとなしくなってしまったし、オラもねぷたくなって眠ってしまった。

 お礼を言ったは、けんかのときから長虫がオラの鼻っぺにかじりついたままだったので、オラは口を開けられないから、ものしゃべられなくなっていた。そうしたらおじいさんほりだしてくれて、キセルでポコンとたたいたので長虫の頭がとれたのだ」と言いました。おじいさんは「うーんそうだったのか」とかんしんしました。そして小さい土のかたまりをよくよく見ると、ほんとに長虫の頭でした。カエルの頭にかみついたときに穴の外に出ていた長い体は、冬のあいだにしばれてくさってしまっていたのです。

 やっとなっとくしたおじ いさんは、カエルに「おまえさんこれからどうする」と聞きました。カエルは「まだ少し寒いから、そのあなにねこと長虫の頭をならべてその次にオラをうめてけろ。あたたかくなってから出てくるから」といいました。

 「めんどくさい話だな」とおじいさんは思いました。そうしたらカエルはおじいさんの心をわかっているように、「おじいさんはオラの命のおんじんだ、けしてむだにはならないから」と言いました。おじいさんはそうだな、どうせねこをうめるのだから、まあいべと思って、ていねいにうめました。

 家に帰っておばあさんにこのことを話すと「これも何かのめぐり合わせ、お玉の道づれにもなるし、よかったよかった」おばあさんはうなずいたそうです。

 その年の秋でした。かぜをひいてねこんでいあおばあさんは、ひさしぶりにお玉のお墓へお参りに川の土手にいきました。するとあたりでは見たことのない山芋(やまいも)がはえているではありませんか。

 びっくりしたおばあさんは、お参りもそこそこにして急いで家に帰り、おじいさんに山芋のことを話しました。

 おじいさんは「ゲロ助がむだにならないと言ったのはこのことなんだな。オラにおんがえしをしたのだな」としきりにかんしんしました。
 それからしばらくたって、山芋のつるがかれてから、おじいさんとおばあさんがおこをほってみると大きな大きな山芋が出てきました。さっそくトロロにして食べてみると、びっくりしたことtにおじいさんの曲がったこしはシャンとのび、おばあさんも前より元気になりました。

 それから毎年春になってゲーロ、ゲーロとカエルの大合唱がはじまると「ばあさま、あのゲロ助は元気だ。よかったなあ」「ほだ、ほだ、じいさまも元気だし、秋になったらまた山芋食べてがんばるべし」と同じことをいいながら暮らしたということです。

 山芋はおじいさんとおばあさんが炭を焼いている間はあったそうですが、おじいさんとおばあさんがどこかへひっこしてから、この話を聞いた人がさがしまわってみても、どうしてもみつからなかったそうです。


この話は、根室市湖南(こなん)に住む渡部石太郎さんが子供のころに聞いたものです。
渡部さんは明治三十七年和田村で生まれました。

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